2016年10月17日に「Psychological Science in the Public Interest」で発表された論文で、脳トレの効果に関する疑問が示されました。
この研究は、「脳トレ」の効果を検証した既存の130以上の学術論文を再検証しています。
その結果、脳トレが脳の認知機能の向上に繋がったとする根拠を提示することができている研究がなかったとの結論に達しました。
脳トレの効果はゲームの腕が上がるだけ
多くの学術論文で、被験者の数が少なすぎたり、「プラセボ効果」を考慮に入れていなかったりして、客観的な科学的根拠としては不十分なものでした。
結論として、脳トレの効果は行ったゲームの腕が向上しているが、現実の生活でどのような効果をもたらすのかを客観的に提示できていないとしています。
⇒“脳トレ”ゲームに逆風か!? 脳に良いかどうかは「証拠不十分」
脳トレの効果が「虚偽広告」で罰金
この論文に先立つ2016年1月、アメリカの人気ブレインゲームサイト「Lumosity」が、FTC(連邦取引委員会)の学術的に立証されていない効果を主張した広告を掲載しているとの指摘で、200万ドル(約2億1,000万円)の罰金を支払っています。
「Lumosity」の広告では、認知症やアルツハイマー病の予防やPSTDやADHDに効果が期待できるとされていました。
そのような効果が公的には否定された形となりました。
脳トレは意味がないか
それでは、脳トレは意味がないかというと、それぞれのケースによるとしか言えないでしょう。
もし、脳トレが楽しくて、ゲームの点数が上がることにやりがいを感じている方にとっては、その脳トレは大いに効果があるとしても間違いではありません。
ただ、認知症予防のためという理由で、楽しくもないゲームをする必要はないということでしょう。
そのような場合は、楽しくない脳トレをするよりも、他の楽しいことを見つけてそちらに時間を割いたほうがよいということです。