人間の体は通常、糖質をエネルギーとして使っています。
その時働いているのが解糖系回路です。
しかし、眠っている間など、血液中の血糖値が低くなると第二の回路が働きます。
体内に蓄えられた「中性脂肪」を分解して、糖分を作り出し(糖新生)、それをエネルギーとするのです。
最近、第三の回路として「ケトン体回路」が提唱されるようになってきました。
肝臓が中性脂肪などから「ケトン体」を生成してエネルギー源として機能させるというものです。
この第三の回路は第一と第二の回路が働かない場合に動きだします。
低炭水化物ダイエットなどでは、糖分を制限してこの第三の回路を働かせようとします。
ケトン体は危険ではないのか
遺伝的な糖尿病患者はインスリン分泌がうまくいかず、ケトン体が極端に高い状態になることがあります。
その状態は「ケトアシドーシス」と呼ばれ、血液が酸性になり、吐き気やおう吐などの症状が現れます。
重篤な場合には死に至る場合もあるのです。
だから、医師の間ではケトン体は危険なものと思われていました。
通常ケトン体は内臓などの不随意筋を動かすのに使われています。
また、妊婦や乳幼児のケトン体の濃度は通常の成人よりも高いことが知られています。
ケトン体は通常の状態では危険性は少ないと考えられます。
最近はケトン体が正常の範囲にある場合には、血糖値を低く保ち、インスリン抵抗性が改善するということがわかってきました。
ケトン体は脳のエネルギーとしても使われる。
脳のエネルギーとしては糖分のみが使われると言われています。
脳に血液が送られるときに血液脳関門という場所を通ります。
その関門を通れるのは、ブドウ糖しかないと考えられていたからです。
しかし、ケトン体もこの関門を通れることが判明しています。
ケトン体がどの様に体の中で働いているのかは、今後の研究を待たなければいけませんが、人間本来のエネルギー源はケトン体ではないかという説まで出てきています。