ビタミンは、炭水化物・脂質・タンパク質・ミネラルと共に、五大栄養素の一つと呼ばれ、体内の様々な働きを潤滑にするためにサポートを行います。
ビタミンは不足すると、ビタミン欠乏症と呼ばれる様々な症状が起こることがあります。
自分の体調が最近おかしいと思う人も、ビタミン不足が不調の原因かもしれません。
そこで今回はビタミンの中で、脂溶性ビタミンと呼ばれるビタミンの役割や一日に必要な量を紹介したいと思います。
ビタミン
ビタミンは、生物が健康に生きるため、微量に必要な有機化合物の総称です。
健康の維持と健全な成長を促進させる働きをもっています。
ビタミンのほとんどは体内で十分な量を作れず、多くの場合食料から摂取することになります。
また、このビタミンは生物種によって異なり、ヒトのビタミンは以下の13種が認められています。
- 脂溶性ビタミン
- ビタミンA
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
- 水溶性ビタミン
- ビタミンB1(チアミン)
- ビタミンB2(リボフラビン)
- ビタミンB3(ナイアシン)
- ビタミンB5(パントテン酸)
- ビタミンB6
- ビタミンB7(ビオチン)
- ビタミンB9(葉酸)
- ビタミンB12
- ビタミンC
水溶性と脂溶性
各ビタミンには、水に溶ける水溶性ビタミンと、油脂に溶ける脂溶性ビタミンがあります。
水溶性ビタミンは尿などから体の外へ排泄されやすいので、身体に蓄積されにくく、少量をこまめにとる必要があります。
脂溶性ビタミンは体の中に蓄積されやすい一方で、水溶性ビタミンのように尿で排出されにくいので、過剰摂取で人体に害を及ぼしやすいと言われます。
食事摂取基準の表
成人における各ビタミンの摂取基準について以下の表にまとめました。
詳細は「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」のビタミン(脂溶性ビタミン)とビタミン(水溶性ビタミン)のページに載っています。
また、各項目を説明すると、
- 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量
- 推奨量:ほとんどの人が充足している量
- 目安量・推定平均必要量と推奨量が設定できない場合の値であり、一定の栄養状態を維持するのに十分な量
- 耐容上限量・これ以上摂取すると健康障害のリスクが高まる値
となっています。
栄養素 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
ビタミンA(μgRAE) | 600(男) 450(女) |
850(男) 650(女) |
2700 | |
ビタミンD(μg) | 5.5 | 100 | ||
ビタミンE(mg) | 6.5(男) 6.0(女) |
800(男) 650(女) |
||
ビタミンK(μg) | 150 | |||
ビタミンB1(mg) | 1.2(男) 0.9(女) |
1.4(男) 1.1(女) |
||
ビタミンB2(mg) | 1.3(男) 1.0(女) |
1.6(男) 1.2(女) |
||
ナイアシン(mgNE) | 13(男) 9(女) |
15(男) 11(女) |
350(男) 250(女) |
|
ビタミンB6(mg) | 1.2(男) 1.0(女) |
1.4(男) 1.2(女) |
55(男) 45(女) |
|
ビタミンB12(μg) | 2.0 | 2.4 | ||
葉酸(μg) | 200 | 240 | 1000 | |
パントテン酸(mg) | 5(男) 4(女) |
|||
ビオチン(μg) | 50 | |||
ビタミンC(mg) | 85 | 100 |
脂溶性ビタミンの詳細
ビタミンA(レチノイド)
機能
ビタミンAの働きは、
- 発育の促進
- 皮膚の健康の維持
- 喉、鼻などの粘膜の健康の維持
- 暗順応(暗い場所でも目が慣れる能力)の機能
- 視力の低下の防止
と言われています。
ビタミンAが欠乏すると、
- 暗順応障害
- 夜盲症
- 結膜乾燥症
- 皮膚の乾燥、肥厚、角質化
が起こると言われています。
また過剰摂取により、
- 肝障害
- 頭痛
- 皮膚の落屑
- 口唇炎
- 脱毛
- 食欲不振
- 筋肉痛
が起こると言われています。
推定平均必要量・推奨量・耐容上限量
ビタミンAの食事摂取基準はレチノール活性当量(RAE)という単位で表されます。
RAEは次の式で求められます。
レチノール活性当量(μgRAE)=レチノール (μg)+β─カロテン(μg)×1/12+α─カロテン(μg)×1/24 +β─クリプトキサンチン(μg)×1/24 +その他のプロビタミンAカロテノイド(μg)×1/24
推定平均必要量や推奨量はビタミンA欠乏症状を示さない最低限の値(9.3μgRAE/kg体重/日)から設定されており、
- 18~29歳の男性:650μgRAE
- 18~29歳の女性:850μgRAE
となっている。
耐容上限量は成人の場合、2700μgRAEと設定されている。
ビタミンD
機能
ビタミンDの働きは、
- 骨の形成と、成長の促進
と言われています。
ビタミンDが欠乏すると、
- 低カルシウム血症
が起こると言われています。
また過剰摂取により、
- 高カルシウム血症
- 腎障害
- 軟組織の石灰化
が起こると言われています。
目安量・耐容上限量
ビタミンDの食事摂取基準はビタミンD2とビタミンD3の合計量で表されます。
目安量はビタミンDを欠乏しないとされる値(5.5 μg/日)が設定されています。
耐容上限量は高カルシウム血症の報告が見られない値(250 μg/日)をもとに、100 μg/日と設定されています。
ビタミンE
機能
ビタミンEの働きは、
- 動脈硬化や老化を進行させる過酸化脂質の生成を抑制
- 血管の健康の維持
- 血液の健康の維持
と言われています。
ビタミンEが欠乏すると、
- 感覚障害
- 神経症状
- 冷え性
- 頭痛
- 肩こり
- シミ・しわ
- 動脈硬化
が起こると言われています。
また過剰摂取により、
- 出血傾向の上昇
が起こると言われています。
目安量・耐容上限量
ビタミンEの食事摂取基準はα─トコフェロールの量で表される。
目安量は日本人のビタミンEと血中α─トコフェロール濃度を測定結果から設定されおり、
- 成人男性:6.5 mg/日
- 成人女性:6.0 mg/日
と設定されている。
耐容上限量は成人の場合、100μgと設定されている。
ビタミンK
機能
ビタミンKの働きは、
- 血液凝固を促進
- 骨形成の促進
- 動脈の健康の維持
と言われています。
ビタミンKが欠乏すると、
- 血液凝固の遅延
が起こると言われています。
目安量
ビタミンKの食事摂取基準はビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン─4・メナキノン─7)の合計量で表されます。
目安量は過去の国民健康・栄養調査の平均摂取量をもとに150 μg/日と設定されています。