健康な食事と生活に欠かせない栄養素 水溶性ビタミンの種類、効能、必要摂取量は?


ビタミンは、代謝や生理機能の維持といった、体内の様々な働きを潤滑にするため必要な栄養素です。
ほとんどのビタミンは食事から摂取する必要があるので、食生活が偏りビタミンが不足すると、ビタミン欠乏症と呼ばれる様々な症状が起こることがあります。
自分の体調が最近おかしいと思う人も、ビタミン不足が不調の原因かもしれません。
そこで今回はビタミンの中で、水溶性ビタミンと呼ばれるビタミンの役割一日に必要な量を紹介したいと思います。

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ビタミン

ビタミンは、生物が健康に生きるため、微量に必要な有機化合物の総称です。
各ビタミンは、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分けられ、水溶性ビタミンは以下の9種です。

  • ビタミンB1(チアミン)
  • ビタミンB2(リボフラビン)
  • ビタミンB3(ナイアシン)
  • ビタミンB5(パントテン酸)
  • ビタミンB6
  • ビタミンB7(ビオチン)
  • ビタミンB9(葉酸)
  • ビタミンB12
  • ビタミンC

ビタミンの概要や水溶性・脂溶性の違いは、過去の記事「人体の機能を正常に保つ栄養素 脂溶性ビタミンの種類、効能、必要摂取量は?」にもまとめているので参考にしてみてください。

食事摂取基準の表


成人における各ビタミンの摂取基準について以下の表にまとめました。
詳細は「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」のビタミン(脂溶性ビタミン)とビタミン(水溶性ビタミン)のページに載っています。

また、各項目を説明すると、
・推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量
・推奨量:ほとんどの人が充足している量
・目安量・推定平均必要量と推奨量が設定できない場合の値であり、一定の栄養状態を維持するのに十分な量
・耐容上限量・これ以上摂取すると健康障害のリスクが高まる値
となっています。

栄養素 推定平均必要量 推奨量 目安量 耐容上限量
ビタミンA(μgRAE) 600(男)
450(女)
850(男)
650(女)
2700
ビタミンD(μg) 5.5 100
ビタミンE(mg) 6.5(男)
6.0(女)
800(男)
650(女)
ビタミンK(μg) 150
ビタミンB1(mg) 1.2(男)
0.9(女)
1.4(男)
1.1(女)
ビタミンB2(mg) 1.3(男)
1.0(女)
1.6(男)
1.2(女)
ナイアシン(mgNE) 13(男)
9(女)
15(男)
11(女)
350(男)
250(女)
ビタミンB6(mg) 1.2(男)
1.0(女)
1.4(男)
1.2(女)
55(男)
45(女)
ビタミンB12(μg) 2.0 2.4
葉酸(μg) 200 240 1000
パントテン酸(mg) 5(男)
4(女)
ビオチン(μg) 50
ビタミンC(mg) 85 100

水溶性ビタミンの詳細

ビタミンB1(チアミン)
機能

ビタミンB1の働きは、

  • エネルギー産生
  • 皮膚の健康の維持
  • 粘膜の健康の維持
  • 脳神経系の正常な働き

と言われています。

ビタミンB1が欠乏すると

  • 脚気
  • ウェルニッケ-コルサコフ症候群
  • 食欲不振
  • 疲労感
  • だるさ

が起こると言われています。

また過剰摂取により、

  • 頭痛
  • いらだち
  • 不眠
  • 速脈
  • 脆弱化
  • 接触皮膚炎
  • かゆみ

が起こると言われています。

推定平均必要量・推奨量

ビタミンB1の食事摂取基準はチアミン塩酸塩量で表されます。

ビタミンB1は、エネルギー代謝に関与するビタミンなので、エネルギー摂取量当たりのビタミンB1推定平均必要量(0.45 mg/1,000 kcal)をもとにして、1日の推定平均必要量や推奨量が設定されており、

  • 18~29歳の男性の推定平均必要量:1.2mg
  • 18~29歳の女性の推定平均必要量:0.9mg

となっています。

ビタミンB2(リボフラビン)
機能

ビタミンB2の働きは、

  • エネルギー産生
  • 皮膚の健康の維持
  • 粘膜の健康の維持
  • 発育促進
  • 細胞の再生

と言われています。

ビタミンB2が欠乏すると、

  • 成長抑制
  • 口内炎
  • 口角炎
  • 舌炎
  • 脂漏性皮膚炎

が起こると言われています。

推定平均必要量

ビタミンB1の食事摂取基準はリボフラビン量で表されます。

ビタミンB2は、エネルギー代謝に関与するビタミンなので、エネルギー摂取量当たりのビタミンB2推定平均必要量(0.50 mg/1,000 kcal)をもとにして、1日の推定平均必要量や推奨量が設定されており、
・18~29歳の男性の推定平均必要量:1.3mg
・18~29歳の女性の推定平均必要量:1.0mg
となっています。

ビタミンB3(ナイアシン)
機能

ナイアシンの働きは、

  • エネルギー産生
  • 皮膚の健康の維持
  • 粘膜の健康の維持
  • ATP産生
  • 脂肪酸・ステロイドホルモンの生合成
  • DNAの修復、合成、細胞分化

と言われています。

ナイアシンが欠乏すると、

  • ペラグラ
  • 食欲不信
  • 消化不良

が起こると言われています。

推定平均必要量・耐容上限量

ナイアシンの食事摂取基準はナイアシン当量(NE) という単位で表され、以下の式で計算されます。
ナイアシン当量(mgNE)=ナイアシン(mg)+1/60トリプトファン(mg)

ナイアシンは、エネルギー代謝に関与するビタミンなので、エネルギー摂取量当たりのナイアシン推定平均必要量(4.8mgNE/1,000 kcal)をもとにして、1日の推定平均必要量や推奨量が設定されており、

  • 18~29歳の男性の推定平均必要量:13mgNE
  • 18~29歳の女性の推定平均必要量:15mgNE

となっています。

耐容上限量については1.25mg/kg体重/日という値をもとに

  • 18~29歳の男性:300mgNE
  • 18~29歳の女性:250mgNE

となっています。

ビタミンB6
機能

ビタミンB6の働きは、

  • エネルギー産生
  • 筋肉や血液を作る
  • 皮膚の健康の維持
  • 免疫系の維持
  • ヘモグロビンの合成
  • 神経伝達物質の合成

と言われています。

ビタミンB6が欠乏すると

  • 皮膚炎
  • 舌炎
  • 口内炎
  • 口角症
  • リンパ球減少症
  • 皮膚炎
  • 貧血

が起こると言われています。

また成人では、

  • うつ状態
  • 錯乱
  • 脳波異常
  • 痙攣発作

が起こると言われています。

推定平均必要量・耐容上限量

ビタミンB6の食事摂取基準はピリドキシン摂取量で表されます。

推定平均必要量の指標はたんぱく質当たりのビタミンB6摂取量とよく相関する値(0.014 mg/gたんぱく質)になり、これをもとにして、1日の推定平均必要量や推奨量が設定されており、

  • 成人男性の推定平均必要量:1.2mg
  • 成人女性の推定平均必要量:1.0mg

となっています。

耐容上限量については0.86 mg/kg体重/日という値をもとに

  • 18~29歳の男性:55mg
  • 18~29歳の女性:45mg

となっています。

ビタミンB12

・機能
ビタミンB6の働きは、

  • たんぱく質や核酸の生合成
  • アミノ酸や脂肪酸の代謝
  • ヘモグロビンの合成
  • 神経伝達の正常の維持

と言われています。

ビタミンB12が欠乏すると

  • 巨赤芽球性貧血
  • 脊髄及び脳の白質障害
  • 末梢神経障害

が起こると言われています。

推定平均必要量・推奨量

ビタミンB12の食事摂取基準はシアノコバラミン量で表されます。

推定平均必要量は2.0μg/日となっています。

ビタミンB9(葉酸)
機能

葉酸の働きは、

  • 核酸の合成
  • たんぱく質の合成
  • 赤血球の形成
  • プリン体及びピリミジンの合成
  • 循環器疾患の防止

と言われています。

葉酸が欠乏すると、

  • 巨赤芽球性貧血
  • 胎児の神経管閉鎖障害や無脳症 (妊婦に限る)

が起こると言われています。

推定平均必要量

葉酸の食事摂取基準はプテロイルモノグルタミン酸量で表されます。

推定平均必要量は200μg/日となっています。

耐容上限量については18μg/kg体重/日という値をもとに

  • 18~29歳:900μg

となっています。

ビタミンB5(パントテン酸)
機能

パントテン酸の働きは、

  • 糖・脂肪酸代謝
  • エネルギー産生
  • コレステロール・ホルモン・免疫抗体の産生

と言われています。

パントテン酸が欠乏すると、

  • 成長停止や副腎傷害、
  • 痺れと灼熱感、
  • 頭痛
  • 疲労
  • 不眠
  • 便秘
  • 不眠
  • 動悸
  • 麻痺
  • 成長停止
  • 食欲不振

が起こると言われています。

目安量

パントテン酸の食事摂取基準は、パントテン酸量で表されます。

目安量は、性別及び年齢階級ごとでの摂取量の中央値ををもとに

  • 18~29歳の男性:5mg
  • 18~29歳の女性:4mg

となっています。

ビタミンB7(ビオチン)
機能

ビオチンの働きは、

  • アレルギー症状の緩和
  • エネルギー産生
  • 皮膚・粘膜・爪・髪・粘膜の健康の維持

と言われています。

ビオチンが欠乏すると、

  • アトピー性皮膚炎
  • 脱毛などの皮膚症状
  • 食欲不振
  • うつ
  • 乳酸アシドーシスなどの障害
  • リウマチ
  • シェーグレン症候群
  • 免疫不全症
  • 糖尿病
  • 乾いた鱗状の皮膚炎
  • 萎縮性舌炎
  • 食欲不振
  • むかつき
  • 吐き気
  • 顔面蒼白
  • 性感異常
  • 前胸部の痛み

が起こると言われています。

目安量

ビオチンの食事摂取基準は、ビオチン量で表されます。

目安量は50μg/日となっています。

ビタミンC
機能

ビタミンCの働きは、

  • コラーゲンの生成
  • 毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ
  • 日焼けを防ぐ
  • ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を強める
  • がんや動脈硬化の予防
  • 老化防止
  • 抗酸化作用

ビタミンCが欠乏すると、

  • 壊血病
  • 疲労倦怠、
  • いらいらする、
  • 顔色が悪い、
  • 皮下や歯茎からの出血、
  • 貧血、
  • 筋肉減少、
  • 心臓障害、
  • 呼吸困難

が起こると言われています。

推定平均必要量

ビタミンCの食事摂取基準は、アスコルビン酸量で表されます。
推定平均必要量は、抗酸化作用が期待できるレベルの血漿ビタミンC濃度を維持する摂取量をもとに設定されており、
・成人:83.4 mg/日
となっている。

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